アートの話

僕が大好きなアートのお話です。

 

ラウシェンバーグがデ、クーニンングからもらったドローイングを消しゴムで消したお話

 

ナレーター:ウィレム・デ・クーニングは抽象表現
主義の画家の中で最も成功し、最も大きな影響を与えた作家である。
同時代の若いアーティストたちは皆、彼の卓越した絵画やドローイング作品を
知っていた。

ラウシェンバーグ:みんなデ・クーニングみたいな作品を作っていたよ。
当時の私の作品は彼らのような絵画ではなかったから、
誰も私の作品を真剣に取り上げなかった。
そのおかげで、みんなと仲良くできたよ。
誰からもライバル視されなかったからね。
脅威ではなかったんだ。

男:消されたデ・クーニングだって?www
そりゃどんなだい?教えてくれよww

ラウシェンバーグ:そう、私は描くのが好きなんだ。
馬鹿な事を言ってると思うかもしれないが
私は単純なドローイングから離れて、真っ白な画面に向かおうとしたんだ。
私は自分でドローイングを描き、それを消すという行為を続けた。
だからそれは単なる消された…、そう…ラウシェンバーグだった。
つまりそれは、価値のないものなんだ。
その内気づいたんだ。消されるのは最初から芸術でなければならない、とね。
消されるのはデ・クーニングでなければ。
でなければ重要な作品にはならない、と。
このばかばかしさが分かるかい?
ドローイングを消す事を作品にするためにだよ。

そして私はジャック・ダニエルズのボトルを買い、
それを抱えて彼の部屋のドアを叩いた。
私はずっと彼が不在である事を願っていた。
それならそれで、作品になるから。
だけど彼は家にいたんだ。

短く気まずい時間の後、私の考えを彼に伝えた。
彼は私の考えを理解してくれたよ。
だけど彼はそれに応える必要はないわけだ。
彼が断る事を願ったよ。
それで十分作品になるんだからね!

男:驚いたね。俺ならデ・クーニングが醜い面を見せると予想しただろうね。

ラウシェンバーグ:彼はもっと私を居心地悪くする事ができただろうが、
おもむろに制作中の絵画を取ってイーゼルから外した。
私は彼の行動を計りかねていた。
そして彼はすでに閉じられた入り口のドアに、そのカンバスを立てかけたんだ。
だけど私はそれに気づいていたよ。
そして彼は、「私が失うものになりたかった」と言った。
私は、勘弁してよ…そんないいものじゃなくていいですよ…
とは言わなかったけど、そう思っていた。
私は黙っていた。
そして彼は「君にとても消すのが難しい作品をあげよう」と言った。
マジかよ…とww
加えて彼は色々くれたよ。チャコールに、
油絵の具、えんぴつ、クレヨンとか。
これくらいの小さなドローイングを消すのに一月かかったよ。
裏面は消さなかった。
裏面には記録が残されていた。

女:私は、偉大な巨匠に挑戦したいという彼の
内面の心理が現れた行為だと思うわ。
彼がデ・クーニングを敬愛していたのだとしてもね。
でしょう?だって当時の最も偉大な存命作家ですもの。
それに当然大きなスキャンダルになるわね。
巨匠の作品を消してしまうだなんて!
それは作品を美術史から消してしまう可能性があるだけじゃなくて、
彼の財産を損なう行為でもあるんだから。

ラウシェンバーグ:人々はそれを…抽象表現主義への抵抗の
ジェスチュアと受け取った。
事実は込み入った話だからね。
大多数の人はそうは考えないだろうね。
そんな事があったとは思い至らないだろう…
あるいは純粋な破壊行為か…言い換えれば
野蛮な振る舞いだと思われただろう。

インタビュアー:あなたにとっては?

ラウシェンバーグ:詩だよ。